日本EU学会は、EUの研究の促進およびEU研究者相互の協力の推進を目的として1980年に設立された学術団体であり、大学院生・実務家を含む約500名の会員を擁して、研究大会、学会誌の発行を中心に、様々な学会活動を展開しております。
さて、社会における様々な組織の中で、セクシャル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント、パワー・ハラスメント、マタニティ・ハラスメント、モラル・ハラスメントなど、様々なハラスメントの問題性が指摘されており、大学・研究機関においても、多くのハラスメント事件が生じている旨報道されています。
ハラスメントの定義には明確でない部分もありますが、学会活動においては、教育・研究・調査、また組織運営の過程で、性別、社会的身分、人種、国籍、信条、年齢、職業、学歴・職歴、身体的特徴等に係る言動により、又は、教育研究上の力関係や上下関係や優越的地位を利用して行われる言動・行為によって、被害者に不利益や不快感を与え、被害者の尊厳を損なうあらゆる行為は、広くハラスメントに該当すると考えます。
学会という組織には、専門領域に関する緊密な指導・協力のネットワークが、大学・研究機関の枠を越えて構築されており、大学・研究機関とは異なる次元でのハラスメントが生じる危険性を否定できません。学会においてハラスメントが生じれば、自由闊達な意見交換に基づく議論が生命である学会活動は損なわれ、学会活動の健全な発展は期待できません。特に、大学院生・助手・助教など若手の会員に被害が生ずれば、彼らの将来の研究活動にも重大な影響を与えかねないでしょう。
大学・研究機関におけるハラスメントの問題性・違法性が認識されてから、既に相当の時間が経過しておりますが、その被害の発生はなお後を絶たないと言われております。
そこで本学会は、会員のハラスメントに対する意識を再度確認・啓発するとともに、本学会のあらゆる活動におけるハラスメントの防止に向けて、会員にその防止を呼び掛けるとともに、学会としても、可能な限り、ハラスメント防止のための諸活動に取り組み、ハラスメントのない自由で闊達な学術研究活動の場の実現に努めることをここに宣言します。
2018年11月18日
日本EU学会理事会